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「学び方のデザイン」が続けられなかったら

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「学び方のデザイン」が続けられなかったら

Posted by Miki Ishijima on .

スライドにした「学び方のデザイン」をステップ1とし、その次のステップとして発展させた「計画のデザイン」について書いてみます。

「学び方のデザイン」は、学習を俯瞰する最初のステップ


「学び方のデザイン」では、あるテーマに関して学ぶ習慣をつけるための設計方法を紹介・提案しました。継続的に実行することで「知る」から「出来る」へ移行できるようになっています。

知る、わかる、できる、教える(能力開発の4つのステップ) | GLOBIS 知見録

しかし「学び方のデザイン」で作ったサイクルは、まだ絵に描いた餅でしかありません。

続けるために、計画を変更する

計画どおりに実行ができない場合はどうしたら良いでしょう。できなかった場合の対策が「頑張る」では、デザインが成功しているとは言えません。

自分が実行できるように計画の方を変更 し、まずは実行し続けられる現実的なプランを探ります。

この 計画と実行、それぞれのサイクルが入れ子で回って始めて「学び方のデザイン」を実践している と言えるようになると考えています。

具体的な例

最初の計画

ぼくの考えたさいきょうの学習計画

初回の計画は検証もされておらず仮説でしかないので、自分の考える理想的なカタチを反映している事が多いです。ここからがスタートです。ゴールじゃありません。

検証

実行してみると、いろいろな理由で継続できないケースがでてきます。

自身や家族の体調不良、仕事が忙しい、疲れている。疲弊すると面倒になってしまうものです。それは悪いことでもない、ごく普通の当たり前のことなので、それも考慮した上で設計します。

頑張るのではなく、原因の分析をし、さらに仮説を立てることで計画を練り直します

再設計1 アクションポイントの微調整

工数が少なく、素早く検証できるものから実践していきましょう。

この時、すぐ出来るはずなのに「なんとなく」気が向かずいつまでも実行に移せない仮説があるはずです。そういったものは自身の特性として単純に向いていないと考えます。無視します。

  1. 工数
  2. 実践のしやすさ

ex. テクノロジー関連は好きだからすぐ実行できる
ex. 移動が必要な買い物は面倒だから週末まで出来ない

などです。

結果このように設計しました。

自分だけは自分に優しくしよう

向いてないもの、精神的理由などですぐに実行に移す気にならないものは徹底的に無視しましょう。二度と考えなくて大丈夫!!!

自身が自身にストレスを与える事は私はあまり有用ではないと考えています。

自分が楽しく遊んでいるように振る舞う結果、自然と学習習慣が身についているというのを目指します。

再設計2 トレーナーに相談する

微調整を繰り返したとしても、習慣にまで到達しない場合はトレーナーやメンターへアドバイスを求めます。

例えばパーソナルトレーニングジムの場合は「どうしても自主練が続かない」と相談してみます。

結果、自主練なしでも完結できるようにしました。アクションポイントを減らすことで、達成しやすくなりました。

これによってコンスタントに続けられるようになりました。しかし月1程度、どうしても休んでしまう事があります。

体調不良や忙しさなど不可抗力のものなので、そのまま継続していけば取り除ける問題かもしれません。

なのでこれで計画が現実的なものとして完成したと言えるでしょう。

しかし、ここではより強い習慣づけのために、たまに休んでしまうことでモチベーションが下ってしまう問題を解決するために、再々々設計をするとします。

再設計3 可能な限りハードルを下げる

とにかく予約した日にはトレーナーと顔を合わせることだけ心掛けるようにします。オンラインで話すだけでも良く、予約した日には無理であれば、別の日にずらしても良い事にして、とにかくモチベーションを維持し続けることを最優先にします。

大切なのは、「罪悪感という概念を用意しない事 」です。「できなかった事に罪悪感を持たない」ではありません。罪悪感を持つ持たないは、前提が必要です。その前提さえ用意しなければ罪悪感を持つこともありません。

アクションポイントを自身の「できる」に合わせて極力少なく、簡単にすることでまずはハードルを下げます。極端な例では「起きる」「パジャマから着替える」というくらい下げます。トレーナーとの接点で言えば、LINEで1個スタンプ送ればOK!くらいまで下げます。

とくに 学び始めは「分かった気になる」ことが重要で、うぬぼれムーブを積極的にかましてくことが大切 です。そのためには「出来た」という錯覚を積極的にしていくのです。

それが、自己肯定感を積み上げていくことになり、「知る」から「出来る」になる楽しさを知り、学ぶこと自体が楽しくなり、熟達する喜びを知れるように なるのです。

これで長期的に続けられるようになり、半年から1年間続けられ、その先も同様に続けられるのであれば、習慣化ができたと言えるでしょう。

当初の計画へ近付けていく

習慣化し、当たり前になってからやっと「当初の理想の計画」に向けて少しずつアクションポイントを追加していきます。

  1. 継続達成
  2. ポイント追加
  3. 繰り返す

ここでもまた「繰り返し」ていくのです。学びに限らずどのデザインでも同様ですが、このように複数の工程が入れ子になり、それが繰り替えされ、螺旋のように広がっていってはじめてデザインを実践していることになります。

続けられない場合

しかし、それでも続けられなかった場合はどうしたら良いでしょう。

導線を設計しなおしたり、ストレスになりそうなものを徹底的に排除してみたり。その他いろいろな工夫をしても、どうしても続けられない事は誰にでもある事です。

その場合、アナタは本当にそれが学びたいのか、そして計画はアナタに適したものかをもう一度考えてみる必要があります。

2点を見直そう

いつまでも続けられないテーマがある場合、下記の2点を見つめ直しましょう。

  1. テーマ自体に本当は興味があるのか
    • 就職に有利である
    • 隣接職能だから習得しておきたい
      など、衝動ではなく戦略ベースでのチョイスである
  2. 自身の特性を理解していない
    • 移動が嫌いなのに移動前提の計画
    • コミュ障なのに人と頻繁に会う設計
      それ自体がストレスなのに、アクションポイントに入れてしまっている

このようなケースでは計画の前段階として、自身を省みる必要があります。

例えば、「痩せること」を目的に設計をします。しかし、ある段階で「運動自体が楽しい」とならなければ学習習慣として根付くことは難しいと感じています。「学び」を主軸に捉えた場合、目的地はあくまでオマケでしかありません。

学習習慣として身につけられた事柄は「知る」から「出来る」と移行する段階で実行自体が楽しくなってくることが多く、そこを超えられるかが重要です。

妊娠糖尿病になった時から砂糖を控える生活を始めました。最初は医師の指導のもとしぶしぶでしたが、今ではなるべく砂糖を控えたり調整する意識が芽生えています。ある時点から実践できるようになり、続けることで良い状態を維持できることの良さを実感できたからと言えるかもしれません。 妊娠糖尿病と診断されたら

好きでやる人、努力してやる人

「好きでやってる人にはかなわない」

グラフィックなどでも特に職人的なデザイン領域でよく言われる言葉です。好きでやっている事は設計することなく自然に習慣として根付いているものです。習慣というより本能に近いと思います。

「自身で燃料を作れる船長は無敵である」と学び方のデザインで書いたように内なる衝動を見つけるのが習慣付けのキモと言える部分です。

では、それはどのようにしたら得られるのでしょうか。

学習テーマが「健康になりたい」場合、パーソナルトレーニングジムに通うことに固執せず、自分が楽しめて続けられそうな方法で運動習慣を身につけることを第一にします。

楽しくてついやってしまう事をアクションポイントの中心に

モチベーションを保てなければ続きません。自身が楽しくてやりたくなってしまうアクションは何なのか。という視点で学習テーマを探ると良いのではないでしょうか。

抽象化してスライドさせる

例としては、「ジムに通う」というテーマを少し抽象化して、「運動」や「健康維持」まで視野を広げてから、自分の楽しい活動でそれらができそうなものは何なのか。を見つけるという作業です。

例えば「ジム」ではなく登山やダンスなどに変更します。

わたし個人の例で言えば、ダンスゲームは8時間ぶっつづけで遊べるほど好きなテーマなので、習い事をパーソナルトレーニングではなくダンス教室にしたり、JUST DANCE NOWというオンラインで遊べるダンスゲームで毎日数曲踊ってみるなどです。ゲームで提供されるダンスミュージックを聞いて好きな曲を探すというのもアクションポイントのひとつになります。

そして、また最初の計画のように実行し振り返り、微調整から再設計を繰り返していくのです。

計画は、作ったからといって経験値にはなりません。実行が不可欠です。そのため「継続して実行できるものは何か」それを知るために時間やお金をかけて探るのは避けられません。

自身の特性を可能な限り把握しておけるとそれらを縮小できます。

自己分析、そしてそれを言語化できるというのは学習効率をアップさせる良い方法ですので、頻繁に振り返ってみることをオススメします。

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Miki Ishijima

http://mikiishijima.com/

仕事では学び方や伝え方をデザインしています。自分が欲しいものを作り続けるのがライフワーク。